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スバル EyeSightで見る夢 前編

「ぶつからないクルマ」として宣伝している、スバルの運転支援システムEyeSight(Ver.2)は、バックミラー上部に搭載されたステレオカメラ(2個のカメラ)で、車の前方を認識し、運転を支援するシステムだ。

具体的な機能は、クルーズコントロール(前車との間隔を保ちつつ、速度を一定に保つ)、プリクラッシュブレーキ(前方に障害物があるとき、自動でブレーキをかける)、車線逸脱警報(車線を外れそうになったら、警告音を出す)、誤発進抑制(ペダルの踏み間違いによる急発進を抑制する)がある。

約1年間使用したが、とても使い勝手が良く、優れたシステムだと感じた。今回は、EyeSightの感想を書きつつ、“次”を考えてみたい。


一般的に言って、「認識技術」はまだまだ使い物にならない。「音声認識」「文字認識」「顔認識」など、様々な認識技術があり、一部分では実用に足る技術はあるが、それでも人間が認識しやすいようにお膳立てしてあげないと(わかりやすいようにハッキリしゃべる等)、十分な認識精度を得られない。文字が歪むと文字認識はほとんど出来ないし、二人の人間が同時にしゃべっている言葉を認識することは、不可能に近い。認識技術が現在も日進月歩で進化していることは分かるが、それでもなお、改めて人間の認識能力の高さに感動する、つまり認識技術に失望することは多い。

そういうわけで、EyeSightの運転支援にも、それほど期待はしていなかった。しかし、実際に使ってみると、思った以上に実用的で、信頼性があり、完成度が高いシステムであるということが分かった。以下、機能別に自分の考えを書いた。

クルーズコントロール

前車との間隔を保ちつつ、速度を一定に保つ。EyeSightのクルーズコントロールは、発進から停止、時速0km/hから114km/hまでと適応範囲が広い。高速道路の渋滞時に使うと楽だが、それ以外の場面でも使える便利な機能である。前車が停車すると、自車も停車するが、停車の仕方はとてもスムーズ。おそらく、並のドライバーよりスムーズに停車できる。

欠点は、前方をカバーする距離が短いこと。前車との距離が詰まりつつある場合、通常はゆっくりブレーキをかけていくが、EyeSightでは前方をカバーする距離が短いため、かなり近づいてから強めのブレーキになってしまう。もう少し手前から前車を認識し、ゆっくりブレーキをかけてもらいたいものだ。もっとも、これはソフトウェアの改善・カメラ精度の向上で将来的に改善されると思われる。

プリクラッシュブレーキ

前方に障害物があり、衝突の危険性があるとき、自動でブレーキをかける。公式には、相対速度が30km/h以下であれば、衝突の回避ができる(特定の状況を除く)、ということが言われている。

実際、この機能が作動する場面はまずないが、クルーズコントロールの精度を考えると、信頼性は相当あるだろう。また、今までの自分の経験では、この機能が誤作動(必要のない場面で、ブレーキがかかる等)することはなかった。

車線逸脱警報

車線を外れそうになったら、警告音を出す。もちろん、方向指示器を出しているときは無効になる。

車線認識の精度はまずまずだが、車線が二重になっている所で、警報がやたらシビアになったり、工事現場など車線がめちゃくちゃになっている所では、誤って警報を出したりする。しかし、通常の場面では問題ない。特に、夜間高速道路を長時間走っている時は、非常に有用である。

誤発進抑制

ペダルの踏み間違いによる急発進を抑制する。
“駐車するときに、ブレーキとアクセルを踏み間違えてコンビニに突っ込んだ。”
この様な事故は絶えない。かくいう自分も、一度ブレーキと間違えて、フルスロットルにしてしまったことがある。幸い大事には至らなかったが。

自分は踏み間違いをしないように、左足ブレーキにしていたが、今後はそのような必要も無くなるかもしれない。

信頼性

先述したペダルの踏み間違い事故で、「注意していればそんなことは起きないよ。」と思う人はいるだろう。だが、人間は100回やって1回も失敗しないようなことでも、1万回やると失敗してしまうことはありうる。

「To error is human.」「人間は失敗する生き物である。」

そんな時は、コンピューターの出番だ。1万回の計算でも、1億回の計算でも、1回も間違えずにやってのける。もちろん、運転支援というシステムでは単純な計算よりも信頼性は低下するし、至る所にバグが潜む危険性もある。しかし、ソフトウェアの熟成が進むにつれ、これらの問題は解決していくだろう。

個人的には、EyeSightの信頼性は、車線認識では人間に劣るが、前方障害物認識では人間より優れていると感じる。車線認識では、思わぬ場所で車線逸脱警報が出たり出なかったりするが、前方障害物認識で問題を感じること、例えばクルーズコントロールで接近しすぎたり、逆に何もない場所でブレーキを踏んだりすることはなかった。道路の状況によって右や左を見ざるを得ない人間、そして感情によって注意力が変わる人間よりも、EyeSightの信頼性が勝るのではないか、と思う。車線認識でも一部の状況、例えば、夜中の高速道路で眠気と戦っている人間より、昼も夜も全く変わらず働くEyeSightの方が信頼性は高いだろう。

後半へ続く