紙というメディア

Paper Weaving by FeatheredTar (flickr)近年、ますます電子書籍が一般化している。

コンテンツ供給の面でも、自炊する人や代行サービスを利用する人は増えているし、Amazon Kindle Storeやその他様々な電子書籍サービスが現れている。また閲覧の面でも、数年前はPCしか考えられなかったが、現在はiPhoneやiPad、Androidなど充実している。特に場所の制約から自由になり、どこでも読めるというのは非常に大きい。

自分も、かなりの量の蔵書を処分し、電子化を進めている。しかし、電子化が進めば進むほど、紙というメディアの良い点を改めて感じるようになった。紙というメディアの、利点と欠点を考え直してみた。

紙の欠点

検索しにくい

紙もCtrl+Fを押して検索できたらどんなに良いか、と思うことは良くある。
特に、辞書のように検索を主目的にする場合は、電子書籍(辞書)が圧倒的に優れている。ただし、本をパラパラめくっているうちに別の面白い事を発見する場合もあり、一概に欠点とはいえない。ただし、結局何を探していたんだっけ?という事もあるので要注意。

かさばる

数冊なら机の上でもいいだろう。数十冊なら枕元でもいいだろう。しかし数百冊になると本棚は必須。数千冊を超えると本棚が日用品と干渉するようになり、そして数万冊となると不動産の問題になってくるのだ。

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入手性に劣る

電子書籍は欲しいと思ったら、すぐにダウンロードして読み始めることが出来る。一方、紙では本屋で買うなり、宅配されるなり、それなりの時間がかかる。

さらに、絶版になって入手困難になることも多い。電子書籍では絶版になるリスクは減るだろう。さらに、電子書籍では青空文庫等、過去の書物が無料で読めるというメリットもある。

紙の利点

頭に入りやすい

電子書籍に比べると、頭に入りやすい。
というより、電子書籍だと上辺の文章だけ読んでしまって、頭に残らない、という事が多い気がする。

何かを理解するには、人間は五感をフルに使うということが必要だと思う。 文字情報を見るだけでなく、本のどの辺のページを読んだかとか、紙がどんな手触りだったとか、どこにラインマーカーを引いたとか、ページをパラパラとめくった記憶とか、大事なところはボールペンで力強くグリグリしたとか。 さすがに味覚や嗅覚は使わないが、本を理解するには文字情報だけでなく、それ以外の情報も重要である。伝える力、理解させる力、という面では紙が優れていると考える。
本気で文章を読む場合、地球環境が許せば、僕は紙にプリントアウトして、マーカーと辞書を片手に読みたい。

ページ移動が楽

紙の方がペラペラめくって、楽にページ移動が出来る。これは電子書籍のデバイスの進歩により、解決されるかもしれない。

本棚に並べられる

良くも悪くも、インテリアになる。自己満足とも言えるが。

書店で立ち読みする楽しみがある

時折大型書店に行く。本好きにはまるでパラダイスのような場所で、「こんな本があったのか」とか、「自分は全くこの分野には興味が無かったけど、立ち読みすると面白いじゃないか」とか、「世の中にはまだまだ知らないことがたくさんあるな」とか、興奮しっぱなしである。将来的には電子書籍も同様のサービスが提供されるかもしれないが・・・書店の楽しみも捨てがたいものだ。

思考に有利

これも、電子書籍の進歩で解決されると思うが、紙にはマーカーを引いたり、書き込みをしたり出来る。

本気で何かを考える場合、PCの前でマウスやキーボードを片手に考えても、なかなか良い考えは出てこない。自分の場合、コーヒーを横に置き、まっさらな紙とペンを用意して、紙に考えを書いては消し、書いては消し、という作業が必要になる。人間の思考には、アナログな作業が必要なのか、それとも数十年後には自分は化石人間になっているのか。

規格が変わらない

“紙”という繊維に文字情報を記録し、視覚でそれを読み取るという規格は、ほぼ完成の域に達している。数百年、数千年前から変わらず、今後しばらく変わることはないだろう。

一方、電子書籍のフォーマットは、今後数十年続くかどうかは分からない。ただし、規格自体は黎明期の些末な問題であり、今後はEPUB3等の統一規格が普及するだろう。ある程度まで普及すれば継続性が生まれ、仮に新しい規格が出たとしても、互換性は保証されると考える。

結論

メディアの本質である、人間の意思・思考・物語を伝えるという目的では紙が優れており、今のところ最強のメディア。
ただし、いくつかの点(検索性、利便性)では電子書籍が優る。 今まで紙が担ってきた役割は、今後かなりの部分が電子書籍に移行すると思うが、それでも紙の絶対的な優位性は変わらない。
本気で考えたり、読んだりするときは、人間の五感をフルに使う必要があり、紙が優れている。

追記

ニコニコ動画で、一つの動画を多数の人が見るのと同じように、一つの本を多数の人読む、というサービスがあったら面白いのではないかと思う。デバイス上で本を読み、その本の文章に対する各々の人の感想・解釈を書き込んでいく。それを共有することで、自分では気がつかなかった点、自分とは異なる解釈を知ることが出来る。自分が理解できなかったところも理解できるかもしれない。より深く、その本を読むことが出来るだろう。
電子書籍の利点が一つ増えることになる。

資料:
Paper Weaving by FeatheredTar (flickr)

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