支持率の無意味さ

支持率という言葉がある。

一番よく使われるのは内閣支持率。大抵、内閣が誕生したときに最も高く、その後は下がる一方だ。

支持率調査を企画する人、調査をする人、調査に答える人、結果を公表する人、結果を見る人。これらの人々は、支持率にどんな意味があるのか、考えたことはあるのだろうか?

支持率とは

そもそも、支持率とは何だろう。

支持率(%):アンケートで「支持する」と答えた人の人数÷アンケート調査を行った全体の人数×100

アンケートを受ける人は、通常国民から無作為に抽出される。調査方法には、直接聞き取る方法・電話・ネットがあるが、一般的には電話方式が多いだろう。つまり、支持率とは、ある対象に対しアンケートで「支持する」と答えた国民の割合である(当たり前だけど)。

「支持する」の意味

1.ささえること。持ちささえること。また、ささえつづけること。

2.主義、主張、政策などに賛同して、その後押しをすること。

(精選版 日本国語大辞典)

つまり、総理大臣(内閣)を「支持する」というのは、総理大臣を「応援する、賛成する」という意味だ。人によっては、「好感をもてる」というくらいの、軽い意味で答える人もいるかもしれない。

自分としては、「ある人を支持する」というのは、「ある人の事を十分理解しており、信頼できる。その人に仕事を任せられる。ある一定の信念を持って、応援し続けられる」という意味だと思っていた。世間での「ある人を支持する」ことは、もっと軽い意味と捉えて良いようだ(尤も、こんな重い意味では、ある人を支持するかしないか、判断することは難しいけど)。

支持率のパターン

総理大臣の支持率は、登場直後は比較的高いが、徐々に右肩下がりで下がっていく、というパターンが多い。多いというか、最近の総理大臣の支持率はほとんどこのパターンだ。

1.総理大臣の登場後、国民の大部分は、マスメディアの紹介でその人柄や業績、考え方を知る。それを基に“支持率”が出されるが、この時点では総理大臣としての業績は全くなく、“支持率”というより“期待率”だろう。

2.任期中、様々なイベントが起こる。イベントの内容をマスメディアが報道し、国民が良い印象、または悪い印象を受ける。

3.良い印象・悪い印象の双方あるものの、悪い印象が優勢になり、徐々に支持率が下がっていく。

4.ある程度下がると、総理大臣を続けることに疑問符が付く。

正確な議論ではないけれど、概ね上に書いたような流れで、支持率が下がっていくと推測できる。

問題点

メディア・バイアス

一つのイベントでも、マスメディアの報道の仕方、メディア・バイアスによって、国民が受ける印象が変わってしまう。もちろん、悪意を持った報道なら国民は悪い印象を受けるし、その逆もある。“偏向報道”と検索すれば、実例は嫌になるくらい出てくる。

国民とマスメディア双方のメディア・リテラシーが乏しい、国民が考えることをしない(批判的思考をしない)と言ってしまえばそれまでだが、それでも支持率がメディア・バイアスを受けやすいということは変わらない。

近視眼的になりやすい

一つの判断において、短期的には悪く見えても、長期的に見ると良い結果になることもある。逆に、短期的には良く見えても、長期的に見ると悪い結果になることもある。

人間の性として、短期的に良く見えるものは良く評価し、悪く見えるものは悪く評価しやすい。目先のものに左右されやすい。つまり、支持率は近視眼的になりやすい。

一方政治には、長期的展望に立った、数年先、数十年先を見据えた戦略が必要になる。毎月のように支持率が出て、それに左右されるようでは、とても長期的な戦略は立てられない。

“The road to hell is paved with good intentions.”

「地獄への道は善意で敷き詰められている。」

間接民主制

そもそも、日本は間接民主制である。公正な選挙プロセスが働いている限り、支持率がどうであろうと、政治には何ら関係ない。

総理大臣の支持率が低いからといって、“辞任を求める空気”になるのはおかしい。それで辞任する辞任しないで問題になるよりも、(支持率があまりに低い場合に)国民投票で総理大臣を罷免する制度を検討する、つまり直接民主制の一部を導入することを検討した方が、建設的だろう。

マスメディアの権力の増幅装置

マスメディアの報道が、国民に(メディア・バイアスを伴った)影響を与える。

当然、支持率にも影響を与える。

マスメディアが支持率を調査する。

支持率が、国民全体の総意として報道される。

結果として、マスメディアの影響が増幅される。

良い情報を良い、悪い情報を悪い、と正確に伝えれば問題ない。しかし、マスメディアの意思や意図により、情報がゆがめられて報道されてしまうと、つまりメディア・バイアスを伴うと、そのバイアスが増幅されてしまう。支持率が、マスメディアの権力の増幅装置のような役割になってしまう。

まとめ

支持率は、

・メディア・バイアスを受けやすい。
・近視眼的になりやすい。
・日本は間接民主制であり、政治とは関係ない。
・マスメディアの権力の増幅装置のような働きをしてしまう。

上記の理由から、支持率は無意味、もしくは、マスメディアの権力の増幅装置としての意味しかない。きちんと対象について考えるときは、支持率以外の情報を活用するべきだ。

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