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人口減少

人口問題:まとめ

人口減少自体は、それほど問題ではない。

人口減少は、“量”の変化ではあるが、“質”の変化ではない。もちろん、人口減少に付随するテクニカルな問題(下に詳述する)は存在するが、人口が半分になっても、生活水準が半分になるわけではない。GDPが半分になっても、収入が半分になるわけではない。

“質”の変化ではないという意味で、人口減少は問題ではない。しかし、“量”の変化に付随する問題もいくつか存在する。それを、良い影響と悪い影響に分けて、下に纏めた。

良い影響

日本が小国になり、小回りがきく国家になる。

1億2000万人から半減したとしても、6000万人。フィンランドやデンマークのような小国とは言えないが、今より人口が少なくなることで、小回りがきく、世界の変化に俊敏に対応できる国家になるかもしれない。もちろん、人口にふさわしい政治体制にしなければいけない。

一人あたりの、天然資源(土地、水、森林、海洋)、インフラが増える

人口が減れば、一人あたりの資源の量が増える。高い人口密度の緩和、食糧自給率の上昇、交通渋滞の緩和、等々が期待できる。しかし、悪い影響にも書いたが、既存のインフラが重荷になる可能性もある。

地球に優しい

人間が排出する二酸化炭素と地球温暖化の関係は、議論が分かれるところではある。しかし、人口が半減すれば、消費される資源(化石燃料、水、金属など)の量、廃棄物の量も半減する。人口が少なくなれば、環境負荷が減る、ということは確実に言える。

悪い影響

インフラの維持が困難になる

今までと同じインフラを維持する場合、人口が半分になると、一人あたりの維持費は2倍になる。人は国のために、国は人のためにで書いたように、今と同じレベルのインフラの質を維持するには、

① 国民の負担を増やす。
② インフラの質を維持して量を減らす、つまり“選択と集中”。

しかない。今の日本の財政には、余裕が全くないから、現実的には②を選択せざるを得ないだろう。人口減少に伴って、削る所は削る、捨てる所は捨てる。“選択と集中”が必要になる。

「今あるインフラは次々と老朽化している。維持だけでも莫大なお金がかかる。財政も危機的だ。あぁ、困った。どうしよう。」と考えると憂鬱になる。「60年前と比べると、今のインフラは満ち足りている。“既にある”分、昔より有利だ。必要なものを更新し、必要性が劣るものは廃棄しよう。」と考えるべきだ。多少の不便はしようがない。

小国になる

人口が減ることにより、トータルの技術開発力、研究力、世界におけるプレゼンスが減少する。これは致し方ない。日本人に生まれた身としては、もっと日本人が世界で活躍し、遍く世界に広がり、日本人のプレゼンスを高めていって欲しいという希望はあるが。

まとめ

人口減少は、メリット・デメリットはあるが、総合すると(それ以外の人口問題と比較して)大きな問題ではない。ただし、1億2000万人の器に、6000万人が住むのは無駄としか言いようがない。人口減少に伴い、器を小さくしていく、“選択と集中”が必要だ。

資料:
総務省 統計局、日本の統計2012
日本の将来推計人口(平成24年1月推計、国立社会保障・人口問題研究所)