2015年4月、SamsungからGalaxy S6が、ASUSからZenfone 2が発売される。
この二つのスマートフォンは、目指している方向が大きく違う。
Galaxy S6は、14nmプロセスを採用した最新の8コアCPUを搭載、カメラは1,600万画素で光学手ブレ補正あり、ワイヤレス充電にも対応している。現時点での最高の技術を結集したスマートフォンだ。
一方、Zenfone 2は、一言で言うと“そこそこのスマートフォン”。メモリーは4GBと大容量だが、CPUはIntel Atom、カメラも1300万画素、写りもそこそこ、デザインもそこそこ。全体的に悪くはないが、Galaxy S6と比較すると、ほとんどの点で劣っている。
しかし、Zenfone 2はGalaxy S6に比べて、圧倒的に優れている点が一つある。それが、コストパフォーマンスだ。おそらく、Zenfone 2によりASUSは大成功を収め、SamsungはGalaxy S6で手痛い失敗を被るだろう。そして、Zenfone 2の成功とGalaxy S6の失敗は、今後のスマートフォンの歴史的転機となるはずだ。
自分のスマートフォンの遍歴は、W-ZERO3 [es](シャープ)→Galaxy S(Samsung)→Galaxy Nexus(Samsung)→Xperia Z(Sony)、という流れ。
W-ZERO3 [es]は、今の水準からすると、大きくて重くて不格好、何をするにもレスポンスが悪かった。だけど、W-ZERO 3は持ち運べるPCそのもの。当時のガラケーにはない、何でも出来るという無限の可能性があった。小説のデータをW-ZERO 3にコピーして、電車の中で読んでいた日が懐かしい。
次に購入したのが、Galaxy S。Gmailで過去のメールを検索すると、2010年7月にeXpansysで購入した記録が残っている。英国からの個人輸入で、値段は374.46ポンド。当時は1ポンド130円くらいだから、約5万円。海のものとも山のものともつかぬ物に5万円とは、自分としては思い切った買い物をしたものだ。
Galaxy Sは自分にとって、スマートフォンの原風景とも言える機種。スマートフォンとしての形は出来ていたが、まだまだ荒削りで、不具合や不足している機能が多かった。使えば使うほど、もっと高い性能、もっと良いカメラが欲しいと思った。
次はGalaxy Nexus。ドコモで、タダ同然で購入した。クセのない、スタンダードな機種、という印象。
そして、今使っているXperia Z。購入して2年以上経つが、まだまだ現役。
トータルバランスに優れ、欠点がほとんどない。強いて言えば、バッテリーがへたってきたとか、レスポンスがもう少し良かったらとか、カメラがもう少しキレイになったらとか、細かい要望はある。
だけど、そういうことが些末に思えてしまうほど、完成されている。自分にとっては、スマートフォンの一つの完成形。
つまり、W-ZERO3 [es]の時代から、「あれがしたい、これがしたい」「もっと軽く、もっと速く」「キレイに写真を撮りたい」「もっと便利に」という様々な欲求が、この10年弱の間に達成されつつあるのだ。人によっては、4Kゲームをしたいとか、Super Piを走らせ始めるとか、動画エンコードをし始める人とかいるかもしれない。だけど、自分にとっては、スマートフォンの要求は満たされつつある。
まぁ、スマートフォンでもっと色々なことが出来たら、と思うこともある。本格的なゲームとか、一眼レフ並みの写真撮影とか、本格的な文書作成とか。
だけどそれを実現するには、大画面とコントローラーが必要→据え置きゲーム機、大きなレンズとレンズマウントが必要→一眼レフ、キーボードが必要→ノートPC、になってしまう。スマートフォン、という枠からは外れてしまう。モダリティが違う、とも言える。
話はGalaxy S6とZenfone 2に戻る。
前述のように、Galaxy S6は最高の性能を持っているが、価格も最高。DoCoMoで9万円オーバーとも言われている。
一方、Zenfone 2はそこそこの性能だが、圧倒的なコストパフォーマンスを持っている。廉価モデルで約23,000円(台湾での価格)。MVNOと組み合わせれば、初期費用3万円弱、月々2,000円弱(通話機能付き)だ。
最高の性能を求めるならばGalaxy S6だが、ほとんどの人は、1/3の値段でそこそこの性能を得られるZenfone 2を選択するだろう。自分は、コスト度外視で最高の物を追求するのが好きな人間だが、それでも、Galaxy S6の性能よりもZenfone 2のコストパフォーマンスの方が魅力的に感じる。
つまり、スマートフォンに対する要求は頭打ちになりつつあり、パフォーマンスよりもコストが重視される時代になって来ている。
単に「スマホがコモディティ化している」と言えばそれまでだが・・・
まとめ
- スマートフォンの要求性能は頭打ち。
- Galaxy S6は“持続的イノベーションのジレンマ”に陥っている。おそらく大敗するだろう。
- 優れたコストパフォーマンスを持つZenfone 2は成功する。
- Galaxy S6とZenfone 2は、今後のスマートフォン市場の転機となる。
ちなみに、今の運用
- Xperia Z
- IIJmio みおふぉん3GB
- Klink(USBテザリング)
- 月々2000円弱。全く不満なし!
>自分は、コスト度外視で最高の物を追求するのが好きな人間だが、それでも、Galaxy S6の性能よりもZenfone 2のコストパフォーマンスの方が魅力的に感じる。つまり、スマートフォンに対する要求は頭打ちになりつつあり、パフォーマンスよりもコストが重視される時代になって来ている。
ちょっと意味不明の文章ですね。
自分が個人的にコストパフォーマンスの高い端末に魅力的に感じるからといって、「つまり、スマートフォンに対する要求は頭打ちになりつつあり、パフォーマンスよりもコストが重視される時代になって来ている。」とつなげるのは、論理の飛躍もいいところでは?
日本ではどうだか知りませんが、Galaxy S6は海外で相当な数のプリオーダーが入ってます。ZenFone 2が太刀打ちできるとは思えないですけどね。
コメントありがとうございます。
たしかに、論理の飛躍と捉えられてもおかしくない文章ですね。
丁寧に言うならば、
①スマートフォンは、今まで、猛烈なスピードで進化してきた。
②ここ1、2年の間も進化しているが、その進化により得られるもの(スマートフォンの利便性、写真の画質等)は、以前よりも少なくなっている。
③2年前のXperia Zが今でも十分通用する事が、上記の裏付けになっている。
④得られるものが少なくなっているということは、要求が満たされつつあるということである。
⑤要求が満たされれば、需要は少なくなる。
⑥需要が少なくなれば、価格は下がる(需要・供給曲線)。
⑦つまり、コストが重視される時代となる。
⑧自分は、コストパフォーマンスを度外視することが多いが、その自分さえも、コストパフォーマンスのことを考えるようになった。
⑨世の中の皆さんにとっては、なおさらそう思うだろう。
ということです。
自分の推測が当たっているか、日暮ネルソンさんの推測が当たるかは、時のみぞ知る、ですが。